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海外遊学のおはなし

プロローグ

「海外遊学」とは私にとってなんて都合のいい言葉なのでしょう。私はただ子供のころから憧れて、夢見ていた世界を旅してまわっていただけなのです。普通に観光旅行です。

物心ついたころから子供なりに周りの人と感性が違う、なんか合わない、と感じていたところがありました。その為、人前では人に合わせながら、頭の中では知らない世界を想像して楽しんでいました。引っ込み思案でおとなしかった私ですが、頭の中は空想でフル回転でした。小学生の高学年になると近所の外国人とお友達になり、その子の家によく遊びに行きました。中学時代は外国人の新しいお友達を作る為に、アメリカンスクールバスが通る時間に合わせてよく待っていました。バスから降りた子にお友達になってと声を掛ける為に。
彼女達といるととにかく楽しくて、驚きの連続でしたが、何よりも一緒にいることがラクだと感じていました。後から考えるとそれが、自分の感性そのままでいられたことのラクさだったのだとわかります。

そうして外国や、外国人、更には外国人の家族関係、家、習慣、色々なものに興味を持っていき、今思うと胸の中で何かが膨らんでいく感覚…いや、そんな大それたことでもないか。
洗っても消えないシミのように胸の奥にあった願望。大人になってそれが実現できる状況になった時、ほんの少しの助走で一気に飛んでいくようにして世界へと出掛けて行きました。

結果、期間としては全部で10年ちょっとになりますが、その間ずっと旅行し続けていたわけではありません。その期間の中で旅行を繰り返したり、しばらく日本にいたり、長いこと外国にいたりです。ある程度計画性がある旅も、全く自由で気ままな旅も、誰かと一緒の旅も。
そのうち、都内のマンションも解約し、家財をトランクルームに預けたり(結果7年以上)。次は殆ど日本にいないからと住民票も抜いて私は身軽にひらひらと舞っていました。区役所の方に「こうすると日本での私はどんな人、ということになるの」と聞くとたった一言 「正式な住所不定です」。 え、そうなの?考えてみた結論としては、絶対事件にも事故にも巻き込まれてはいけないし、死ねない。だって、ニュースで「昨夜、住所不定のササモリエリが…」だなんて。

大陸や地域で言えばアジア、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、南極、様々なところの空気を吸って、歩いて、見て、食べて、話して、それは想像の範囲を超える程のとても贅沢な経験です。
ですが私の実際の旅行そのものは、いわゆるバックパックではないものの、貧乏旅行として周っていました。セレブじゃないと受け入れてもらえない所以外は敢えてそうしていた訳ですが。現地の方に受け入れてもらいたい、話したい、生活が知りたいと思ったのと、身の安全を考えての極力現地同化の為の策だったりとか、少しでも出費を抑えてその分長く旅行生活を続けたいとか、そういう様々な理由です。

私がその時どきに、どこかの街で体験したこと、思わず遭遇したこと等のエピソードを愛情込めて、少しずつブログを使って皆様にお伝えしていきたいと思います。
ただ、私が世界を旅していたのはずっとずっと前の事です。90年代から00年代初めにかけての、今となっては古き良き時代とも呼べる頃のお話です。だからこそ訪れることができた国もたくさんあるのですが。ケータイもなく、国際電話も料金高く、たま~に見かけるネットカフェは日本語が使えず、エアーチケットが今の何倍も高い、そんな時代の旅行です。街の様子も今とは違うでしょう。現地の物価も全然違うと思います。国そのものが消滅したり、分裂したりと常に動いている、生きている私たちの地球。ですから今と比べないでください。

古い話ですが、心に刻んできた大切な思い出の数々、ひとひらずつお届けしていきます。
アフリカのおおらかな人柄やひたすら続く自然風景とか
南米の不思議な時間感覚や輪郭のはっきりした光景とか
動物もたっぷり。ねっとりしたアジアの空気感とか
別世界の南極、 不思議いっぱいのガラパゴス、 魅了されたモアイたち、

それらの魅惑の地にエピソードを交えて具体的な出来事を綴って参ります。
どうか遠く見知らぬ土地の風を感じていただけますように!


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